何をやっても、「自分はダメだ」「きっと未来に良い事なんて無い」と、自分を卑下してばかりな人を見かける事があります。
こうしたマイナス思考は、遺伝的な要素が大きく関わっているという事は、研究でも明らかにされています。
しかし、遺伝が関係しているからと言って、一生ポジティブな性格にはなれないのかと言うと、そんな事はないようです。
ポジティブを作る、セロトニン
うつ病をはじめとする心の病には、「セロトニン」と呼ばれる、脳内神経伝達物質の不足が原因として考えられています。
極端に言えば、ポジティブな人は脳のセロトニンが多く、ネガティブな人はセロトニンが不足しているということになります。
精神科や心療内科で、うつ病の治療として使用される「抗うつ剤」。
最近主流の抗うつ剤の中には、セロトニンを増やすためのSSRIと呼ばれる種類の抗うつ剤が主流で使われています。
ポジティブは「遺伝」で決まる?
ポジティブで明るい毎日を過ごすためには、脳のセロトニン濃度を高く保つ事がとても重要だと考えられます。
最近、沖縄科学技術大学で行われた、マウスを使った実験によると、セロトニンは「我慢強さ」にも深く関係している事が分かったそうです。
これまでにも、「幸せホルモン」や、ストレスを溜めない為に重要な物質として、セロトニンは度々マスコミに取り上げられていました。
ただし、冒頭にも書いたように、セロトニンの効果は遺伝によって多少左右されます。
セロトニンによる神経伝達のやり取りを中継するのが、「セロトニントランスポーター」と呼ばれる、脳の中の神経伝達を行う遺伝子です。この遺伝子は、人によって形状や能力に個人差があるのです。残念ながら、遺伝子の形は一朝一夕で変えられるものではありません。
しかし、遺伝子が性格を決めるのは、ほんの一部分でしかありません。人によって多少の個人差はありますが、日頃から脳のセロトニンの量を増やし、ポジティブに過ごす為の体質を作る事はできます。
遺伝が決めるのは、ごく一部
セロトニンは、日頃の運動や食べ物、生活習慣などで恒常的に増やす事ができると考えられています。特に朝日を浴びる事や、毎日継続して運動を行う事は重要です。
これに加え、セロトニンを作り出す材料となる、必須アミノ酸「トリプトファン」を体内に取り入れる事も大切です。
セロトニン自体は直接体外から取り入れる事ができない物質です。食べ物やサプリメントで効率よく補うように日頃から気をつけましょう。
セロトニンの「材料」が多い食べ物を選ぶ
セロトニンの材料となる、トリプトファンは、次のような食べ物に多く含まれています。
- バナナ
- 納豆
- 大豆類(豆腐、豆乳など)
- 魚類(カツオ、マグロなど)
- 乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)
- アーモンド
- ひまわりの種
特におすすめなのは、バナナです。
トリプトファン自体の含有量は、大量に含まれているという訳ではありません。しかし、トリプトファンを効率良く脳に運び、セロトニンを合成させる為のビタミンや、炭水化物、糖類などが豊富に含まれています。
こうした食べ物は、セロトニンが合成されやすい、朝の時間帯に食べるようにすると効果的です。
また、最近ではセロトニンを効率良く作り出す為のサプリメントも販売されています。
食生活が偏りがちな方は、サプリメントもうまく活用すると良いと思います。
セロトニンが増やされることで、ポジティブな考えができるだけでなく、自律神経が正常に保たれます。
夜の寝つきも必然的に良くなり、朝から意欲的で活発に過ごす事ができるようになります。